最近の子供たちの傾向として、全体的に顎が小さくなっています。
食生活の変化が主な原因と言われていますが、その結果、歯並びが良くない場合が多く見られるようになりました。
顎が小さくなったにも関わらず、歯の大きさは変わらないため、生えるための場所が不足し、最終的には乱杭歯(叢生)の永久歯列となってしまいます。
乳歯の段階で、将来的にそうなることは予想できますし、その場合、生え変わりの時期に治療することで叢生は予防出来ます。
生え変わりの時期に、隣の乳歯を早めに抜歯することで永久歯の生える場所を作り、正常な位置に永久歯を誘導する。その後、次の永久歯の生える時期にその隣の乳歯を抜いて歯を生やしていく。前の方から順に場所を作りながら永久歯を並べていく
このようなイメージです。
この矯正方法は、抜歯を行いながら歯を誘導していく方法ですので、特殊な器具は使用しない点、費用が比較的少なく済む点がメリットです。しかし、歯の生え変わりの一時期にしか行えない点、器具を使わない分、誘導の確実性に劣る点、抜歯が子供たちの精神的な負担になりやすいこと、抜歯のタイミングが限られる点、などがデメリットとなります。
本来理想的な歯並びは、このように歯と歯の間に隙間があります。その隙間を使い、永久歯は生えてきます。
乳歯の段階でスペースはなく、将来的な叢生が予想できます。
永久歯の生えるためのスペースが不足しているため、邪魔をしている乳歯を2本抜きます。
スペースを作ってあげ、永久歯の萌出を促します。
実際の歯の動き方
②が生えてきましたが、①が邪魔で斜めになっています。
そこで①を抜いて、②が生えてくるスペースを増やしました。④と⑤の間から⑥も生えてきました。
同様に⑤を抜いて、⑥が生えてくるスペースを作りました。段々、②がまっすぐになってきています。
早めに歯を抜いたので、前歯がまっすぐに並びました。
治療の流れ
- 口腔内診査(虫歯の有無や歯肉の状態、現在の歯の生え方を確認して今後の基本計画を決定します。)
レントゲン撮影(レントゲン撮影を行い、永久歯の大きさを確認します。)
模型作成(型取りを行い、参考模型を作成します。)
- 虫歯、歯肉等の問題がない場合、乳歯の抜歯を始めます。
歯科診療に慣れている場合は2歯の抜歯を行う場合もありますが、通常は1歯ずつとなります。
- 傷の治り方をみながら、順に抜歯を継続していきます。
歯の生え方によっては、2〜6ヶ月程度の期間をあけながらの抜歯となることもあります。萌出のタイミングを図るためのレントゲン撮影や、歯磨き指導を行う場合もあります。
- 上下6歯ずつの永久歯が萌出して、審美的に問題がなくなれば終了となります。
犬歯、第一小臼歯萌出まで経過観察が必要ですので、通院の回数は少ないですがトータルの期間は長くなります。